分布と分類
日本全土に分布するが、分布はブナ帯の原生林やクヌギの台木(台場クヌギ)林に集中し、局所的である。島嶼部では対馬のみに分布していることから、中国大陸・朝鮮半島・対馬・日本本土が陸続きだった最終氷河期の頃に南下分布した可能性が高い。
元来オオクワガタはhopei,binodulosus が共にcurvidens の亜種とする考え方が支持されていた。しかし、curvidens 基亜種とhopei が中国の同じ産地で採集されるなど、この考え方に疑問を持つ声が高まり、オオクワガタを巡る分類の議論は紛糾した。
国立環境研究所の主任研究員である五箇公一と小島が2002年に行った、ミトコンドリアDNAの解析による分子系統樹が発表され、従来博物学的知見などから述べられていた通り、日本産のオオクワガタは朝鮮半島と中国の一部に産するビノデュロサスオオクワガタと同じ亜種であることが分かった。
近縁種は、台湾に棲むタイワンオオクワガタと、ラオス・インド・ベトナム等に棲むグランディスオオクワガタであり、中国本土のホペイオオクワガタとも近い。しかし従来日本産の学名になっていたクルビデンスオオクワガタとは、ミトコンドリアDNAの解析からも、また交雑試験からも全くの別種と分かり、亜種関係を見直した結果、現在はDorcus hopei binodulosus の学名で呼ぶのが適当とされる。なおcurvidens もbinodulosus も、雄成虫に見られる1対の眼上突起に基づく命名である。
和名でオオクワガタと呼ばれる種にはこの他にも、クルビデンスオオクワガタ・リツセマオオクワガタ(旧名パリーオオクワガタ)・アンタエウスオオクワガタ・シェンクリングオオクワガタなどが知られるが、雄の大アゴの発現型とそのニッチ以外に遺伝的共通点は意外に少ないようだ。
なおオオクワガタ属Dorcus の属名の元となったヨーロッパオオクワガタは小型種で、オオクワガタ属に統合されるまで別属扱いだった。Macrodorcus は大きなDorcus の意味だったと思われる。
また、同じDorcus属のコクワガタとの間に雑種(オオコクワなどと呼ばれる)ができることが知られており、ごく稀に採集される。人工飼育で作出することもできるが幼虫での死亡率が非常に高く、また性別が極端に雄に偏る。